令和3年 新年のご挨拶

                   令和3年の新しい年を迎えて

                                                                    (一社)日本トンネル技術協会 会長 谷口 博昭  

新年あけましておめでとうございます。旧年中、当協会の諸活動にご尽力戴きました方々に改めて感謝・御礼を申し上げます。新型コロナウイルス感染は収束の目途が立たず、恒例の新年名刺交換会も中止せざるを得なくなりました。皆様にお目にかかって親しくご挨拶することが叶いませんので、ホームページにて新年のご挨拶をさせて戴きます

昨年は、新型コロナウイルス感染の他、7月熊本県豪雨災害、9月台風10号停電被害等があり、9月16日菅義偉新内閣が発足しました。新内閣には、国民の当面の不安解消を図るため、英知を結集し感染の全体像と収束の出口戦略を示し、感染拡大防止と経済再生の両立を進めることが求められます。併せて、国民の将来不安を解消するため「令和」に相応しいコロナ後の日本再生の将来像=ビッグピクチャー(全体俯瞰図)を示すことが求められます。菅義偉総理が標榜された「自助・共助・公助、そして絆」という基本理念の下、日本再生の全体俯瞰図を示すと共に、公助に流れがちな風潮を改め社会保障と税の一体改革と共に「国土強靭化」や「地方創生」を推進することが期待されます。また、菅総理は「デジタル革命」を標榜されています。IT(情報技術)やDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する必要性は論を待ちませんが、その果実を企業経営や労働生活の向上に資する道筋を示すことが大切です。

昨年トンネル関係においては、リニア中央新幹線静岡工区の地元との調整難航、東京外環工事沿線での陥没事故発生などの出来事がありました。改めて、脆弱で複雑な地形・地質という我が国特有の自然や周辺環境を勘案し、必要且つ十分な事前調査と進捗に応じ調査観測などを実施するなど、注意深い施工が肝要と痛感する次第です。新型コロナウイルス感染が諭す“対立から協調へ”転換し、科学的データに基づき真摯な協議・話し合いにより諸事業が進展することを祈念します。

さて、民間経済の立ち直りには数年オーダーの期間が必要と推測され、この間の需要不足を解消する“大胆な”財政政策が求められます。その政策は「国土強靭化」や「地方創生」に資するインフラ整備・保全を軸とすることが肝要です。この際、インフラ整備・保全によるストック効果と生活経済社会再生の将来像を示し国民の理解を得るとともに、投資の財源とならざるを得ない国債の対象と期間を限定するなど長期的な財政健全化の途をエビデンスに基づき示すことが大切です。“大胆な”財政政策により経済再生を果たし、長期的にプライマリーバランスを図ることが最善の途です。

今後共トンネルのニーズは国内外とも高く、当協会も然るべき役割を果たしたいと想います。関係各位の引き続きのご理解・ご協力をお願いします。結びに、新型コロナウイルス感染が収束し皆様方にとって幸多い一年であることを祈念し新年のご挨拶とします。