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まえがきより近年トンネルの施工技術の中でNATMによるトンネルの施工技術が話題となっている。日本トンネル技術協会においては,昭和51年月日本国有鉄道東京第二工事局より「温泉余土地帯における鉄道トンネルのNATMの適応性に関する文献資料の調査研究」の委託を受け,昭和50年度に引続きNATMによる設計施工 上の実用化のステップとしてその手引の取りまとめを行なうこととなったので,本会施工技術委員会の山岳トンネル高速施工小委員会がこれを担当し,NATM分科会を設けて作製を実施した。NATMとしての一般論とその効用は,前年度の報告普にのべられているとおりであるので,詳細は省略するが。わが国においては,現在のところいまだNATMの本格的な施工実績がなく,部分的な施工記録ではその成果が一部で認められているものの,それをしてNATMの手引香のために引用するのは時期尚早である. 他方,海外,特にヨーロッパにおける実施例についてみれは,報ぜられている文献では,その効果のすはらしいことが述べられている. しかしその内容にはそれぞれローカルコンデションに違いがあり,これらの実績から一つの結論に向って評価するのは妥当性を欠くものがある。こうした現状において,この報告書を編さんするにあたっては,NATMによる設計施工の手引書として”これだけは必要である〝とする最少限の設計,施工及び計測の手法を取りまとめ,不足していると思われる実施のためのポイントについては,関係文献抄録を添えることによって,本書を利用される諸兄の判断を仰ぐこととした.わが国での実施例のないこと、時間的制約などから満足できるものにはならなかったが,こうした経緯をご理解頂いて当面する所期の目的のため有効な活用を図られるとともに,遠からずとの工法を結実されるよう希ってやまない次第である。
第1章調査研究の目的第2章NATMの特徴と在来工法との比較
第3章設計
第4章施工
第5章計測
第6章参考文献
あとがき