202204

区分
施工体験発表テキスト
図書分類
施工体験発表会
図書名/雑誌名
第91回施工体験発表会(都市)CD-ROM
主題/副題
市街地におけるトンネル・地下構造物の新設および改造工事 - 環境配慮、施工改善、近接物対応事例 -
所属
一般社団法人日本トンネル技術協会
発刊年月(表示用)
2022年(令和4年)10月
頒布価格 (団体・税込)
5000円
頒布価格 (個人・税込)
5000円
頒布価格 (一般・税込)
5000円
体 裁
CD-RプリントサイズA4
内容

目次:掲載頁/演題/発表者/所属

目 次

営業線シールドトンネルの二次覆工によるセグメント補強工事
― 横浜市営地下鉄平沼町シールドトンネル ―
(株)奥村組 東日本支社リニューアル技術部 横浜地下鉄平沼町工事所 監理技術者 森 淳
(概要)本工事は,横浜市民にとって大動脈である,横浜市営地下鉄ブルーラインの中でも主要駅である横浜駅~高島町駅間下り線を補修・補強する工事である.当該区間はシールドトンネルで構築した構造物であり,塩分を含む地下水の漏水による劣化(以下塩害)がある区間である.また,営業線を供用する条件下であることから,列車の安全・安定輸送に阻害があってはならない.短い作業時間の中で,施工したセグメント補強工法について紹介する.
キーワード シールドトンネル,二次覆工,セグメント補強,塩害,営業線

AIカメラシステムを用いたバッテリー機関車の自動運転システムの開発
― 東京都水道局 配水本管用トンネル築造工事 ―
鉄建建設(株)東京支店 JV王子シールド作業所 元方管理者 緒方 久矩
(概要)近年,シールドトンネルの長距離化に伴い,セグメント運搬作業などは,無人化や自動運転などによる生産性向上につながる技術開発が求められている.さらに,上下水道のバイパス化を目的としたシールド工事においては,長距離かつ小断面トンネルが多く,坑内で資材運搬を行う際に,坑内作業員の退避場所が確保できないため,安全性の向上が求められている.このような状況を踏まえ,今回は生産性,安全性の向上を目的としたバッテリー機関車の自動運転システムを開発した.
キーワード 自動運転,AIカメラ,バッテリー機関車,安全性,生産性

市街地における泥水式シールド工法による急曲線施工とその対策
― 送泥管工事(落合水再生センター~みやぎ水再生センター間)―
東京都下水道局 第一基幹施設再構築事務所 工事第二課 工事担当第二主事 稲見 徹
(概要)本工事は,落合水再生センター~みやぎ水再生センター間送泥管事業の一環として,東京都北区王子六丁目の王子六丁目公園を発進立坑とし,板橋区板橋四丁目の板谷公園までの約2,645mの区間において泥水式シールド工法により送泥管敷設のための管廊(仕上り内径2,600mm)を整備するものである.地上部における道路線形からトンネル線形には曲線半径15mの区間8箇所,曲線半径20mの区間3箇所の計11箇所の急曲線施工が必要であった.この急曲線施工による線形精度確保と重要インフラへの影響防止に向け,さまざまな対策を講じることにより良好な結果を得たので報告する.
キーワード 泥水式シールド工法,急曲線,外径縮小,線形精度確保,重要インフラへの影響防止

流体輸送方式を採用した泥土圧シールド工法による2路線同時掘進の計画と施工実績
― 半田山線シールドトンネル築造工事 ―
戸田建設(株) 広島支店 半田山線シールド作業所 所長 白石 拡大
(概要)本工事は,岡山市の重要幹線管路の1系統である半田山線のうち約3.5kmを泥土圧シールド工法により更新・耐震化するものである.岡山駅南西に位置する両発進立坑から南北へ向けて2路線を順次に掘進する計画がされていたが,隣接する先行工事の実績から2路線を順次に掘進した場合に工期遅延の可能性が高いと判断されたため,2路線を同時掘進する計画へと変更を行った.具体的には,立坑の形状変更や立坑下作業床の工夫,地上設備の再配置・2路線間での共有などを計画することで対応した.先行工事の直線部の日進量は6.6m/日であったが,さまざまな事前検討・対策を実施した結果,本工事での直線部の実日進量は8.7m/日まで上がり,工期内に工事を完了することができた.本稿は,2路線同時掘進に向けた計画,実際に施工した際の効果について報告するものである.
キーワード 泥土圧シールド工法,流体輸送方式,同時掘進

道路下でのシールド掘進中に遭遇した障害物の撤去
― 送水管布設工事(庭窪万博系統連絡管・摂津市ほか)―
西松建設(株)西日本支社 庭窪シールド出張所 副所長 宇田 好一郎
(概要)本稿は,泥水式シールド掘進中に出現した想定外の地中埋設杭に対する撤去方法の検討,および施工結果について報告するものである.当初計画では,現場状況や工期から杭周辺をベビーモール工法により縁切りし,クレーンにて引抜きすることとした.しかし,撤去対象の土留杭以外にも地中に存在した腹起し,切梁により,ベビーモール削進が進まない状態となった.また,想定外に切断してしまった腹起し,切梁の鋼材片をシールド掘削断面に残置している可能性があった.地中埋設杭撤去中に発生したこれらのトラブルに対して,それぞれ,油圧ジャッキによる引抜,鋼製ケーシング土留工法(エルモール工法)による鋼材片回収を行い,無事,シールドを再発進した.
キーワード 障害物撤去,PIP杭,ベビーモール工法,油圧ジャッキ,エルモール工法

市街地における巨礫地盤シールド施工
― 石巻市石巻中央排水ポンプ場他1施設復興建設工事 ―
清水建設(株)土木総本部 土木技術本部 シールド統括部 松本 修平
(概要)本工事は,宮城県石巻市内の雨水排水を目的とした施設整備事業の内,市内の雨水を河川へ放流するポンプ棟本体と,雨水を流入させる管渠および附随施設を築造するものである.この内雨水管渠は泥水式シールド工法で構築するが,ポンプ棟本体の大規模ケーソン工事(3,343m2)と隣接しており,輻輳した中での施工であった.掘削対象地盤は,事前の土質調査によりN値50以上の風化礫岩(最大礫径φ2,000mm超)が想定されており,当該地盤に対応したシールド機の計画を行っていたが,発進立坑掘削時およびシールド掘進開始直後に想定以上の玉石を含む砂礫層・粘性土層が出現しその対応が必要となった.さらに到達地点の約90m手前では巨礫の切削によりカッターが損傷し,路面下での補助工法を用いたカッター面板補修を実施した.その結果所定位置までの掘進を無事完了することができた.本稿では掘進に伴い実施したカッター改造をはじめとした施工の工夫,施工結果について報告する.
キーワード 泥水式シールド工法,風化礫岩,巨礫,カッター改造,凍結工法,狭隘な発進基地

都電荒川線(東京さくらトラム)地下部における道路工事
― 東京都都市計画道路幹線街路環状第5の1号線―
東京都交通局 建設工務部 工事担当 主任 齋藤 豊
(概要)本工事は,東京都市計画道路幹線街路環状第5の1号線の事業中区間(豊島区高田三丁目~南池袋二丁目 延長約1,400m,図-1)のうち,雑司ヶ谷工区と南池袋工区(雑司が谷三丁目1番地先から南池袋三丁目24番地先まで 延長約370m)について,東京都交通局が東京都建設局から工事を受託し,地下道路を築造したものである.施工位置は,上部に都電荒川線(東京さくらトラム)(以下,「荒川線」),下部に東京メトロ副都心線(以下,「地下鉄」)が通り,上下とも鉄軌道との近接施工であった(図-2).施工は,荒川線の軌道を仮受けしての開削工法とした.その際,閑静な周辺地域に配慮し,夜間作業の縮減に取り組んだ.また,地下鉄に対しては,リバウンド等に起因するシールド変位量を抑制しながら施工を進めた.
キーワード 地下道路,近接施工,都電荒川線,仮移設

大ターミナル駅における線路直下での地下構造物(高架橋)の構築
― JR東日本 新宿駅 地下コンコース部改良工事(仮称)―
鉄建建設(株)東京鉄道支店 JV新宿駅改良作業所 工事係 井上 翔
(概要)JR東日本 新宿駅は,世界一乗降客の多いターミナル駅である.本工事では,列車運行を維持したまま施工を行う工事桁工法を用いる.工事桁を架設したのち,線路下を掘削し,その地下空間に高架橋を構築するものである.工事桁下の掘削においては、線路外から施工箇所まで連続して横断できる工事用通路がないため、軌陸車の移動に時間がかかる。さらに,線路閉鎖間合が非常に短いことから,サイクルタイムの綿密な検討が必要であった.具体的には,使用する軌陸車の台数について検討を行い,入念な時間の計画を行った.また,線路直下での高架橋の施工では,梁部の鉄筋量が560kg/m3と超高密度配筋となっていることや,コンクリート荷下ろし場所から打ち込み箇所まで水平換算400mの配管での長距離圧送であったため,良質なコンクリートを圧送する必要があった.そこで,均しコンクリート打設の段階で設計基準強度が同様のコンクリートを使用して筒先の性状確認を行い,コンクリートの打設を行った.
キーワード 工事桁架設、駅部掘削、駅部地下高架橋構築

輸送力増強を目的とした営業線地下鉄トンネルの改良における下床版築造工事
― 東京メトロ 東西線飯田橋・九段下間折返し設備設置改良土木工事 ―
東京地下鉄(株)改良建設部 第二工事事務所 榎谷 祐輝
(概要)東京メトロでは,東西線の輸送力改善施策の一環として朝ラッシュ時の運行本数を増加させるため,都道8号線下の東西線飯田橋・九段下駅間にある既存の折返し設備を改良し,平面交差支障の解消および折返し線の本線化を目的とした営業線改良工事(以下,本工事という)を行っている.本工事は,約390mを工事範囲とし,列車運行を確保しながら飯田橋方は約100m,九段下方は約80mの範囲で,開削工法により行う.また,約360mの範囲における線形変更に伴い,既設中壁や側壁を撤去する.側壁の撤去部は,外側に新設躯体を築造し,耐力不足箇所については,側壁,上床版および下床版を増厚する.工事範囲は,供用中であり,多くの工種は営業線に近接した作業となるため周辺地盤や既設躯体の変位抑制対策が必要となる.本稿では,飯田橋方の既設躯体直下に位置する新設下床版を築造する際の営業線への安全対策を目的とした,事前検討および施工結果について報告する.
キーワード:地下鉄,駅改良,折返し,開削工法,下床版,高流動コンクリート,既設躯体,変位抑制対策,CIM