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区分
JTA委員会研究成果報告書
図書分類
環境保全
図書名/雑誌名
薬液注入工事による環境汚染防止に関する調査研究報告書
著者名・発表者
環境保全小委員会(薬液注入工事特別委員会)
所属
社団法人日本トンネル技術協会
発行所
社団法人日本トンネル技術協会
発刊年月(表示用)
1978年(昭和53年)2月
総頁数
202頁
体 裁
A4サイズ
内容

まえがきより近年、滞水性の地質擾乱帯や堆積土層などにトンネルを建設する場合が多くなっている. このような場合には, 従来、薬液注入工法が有効な対策工法の一つとして採用されてきたが、福岡県下の下水道工事において井戸水汚染問題が発生し, このため.昭和49年7月に建設省より薬液注入工法に関する暫定指針が出され, 同工法は大幅な規制を受けることとなった。現在は. この暫定指針に沿った施工が各機関でなされているが, なお住民との間に環境汚染についてのトラブルが起きている例もあり、現場において混乱を招いているところもある。これらの背景のもとに, 日本トンネル技術協会は, 日本道路公団大阪建設局の委託により,環境保全小委員会を母体として、薬液注入工事特別委員会を設置し,環境保全に留意した薬液注入工事を実施するための実務的解説書を作成することを目的として調査研究を行った。研究に当っては、山岳トンネルに限定せず広く都市トンネルも対象とし,各機関から出されている取扱い指針や報告類をもとに意見調整を行い、報告書にとりまとめた。また, その際、暫定指針に沿った新技術情報もできるかぎり織り込むよう努めた。本研究に与えられた命題は,重要かつ新しい問題を多く含むものであったが、それにしては研究期間も短かく, さらには,暫定指針の本指針化の動きも伝えられているので.今後修正加筆すべき点も生ずると思われるが,本報告書がこれからの薬液注入工事の設計・施工並びに環境汚染防止にいくらかでも役立つことを期待したい。

目 次

1.総説
2.事前調査
2-1概説,2-2地盤・地質調査,2-3自然・環境調査(地下水調査,井戸・公共水域等の環境調査,植物・農作物・魚介類等の影響の調査,地下埋設物・近接構造物の調査)
3.設計
3-1概説,3-2注入材の選定(注入材の種類,注入材の選定) ,3-3注入計画(地盤改良範囲,注入方式,注入量の算定)
4. 施工および施工管理
4-1概説,4-2現場注入試験,4-3注入機械設備,4-4注入管の配置,4-5現場配合および混合,4-6注入作業,4-7施工管理,4-8注入効果の確認
5.環境の監視
5-1概説,5-2地下水および公共用水域汚濁の防止,5-3工事排水の水質管理,5-4残土処分(掘削残土処分,排水処理により発生する汚泥処理) ,5-5地盤の変状防止
6.環境保全の事例
6-1トンネル排水の効果的処理方法,6-2ケーソン建設工事におけるエアーブローの防止,6-3止水を目的とした土留背面の地盤強化,6-4シールド発進部の地盤強化,6-5シールド工事における周辺への影響防止ならびに掘進部の地盤改良,6-6東電管路への影響を防止した薬液注入,6-7上越新幹線中山トンネル四方木立坑における薬液注入
7.今後の課題
付録:付-1 薬液注入工法による建設工事の施工に関する暫定指針(昭和49年7月10日建設省)、付-2 最近の兵液注入工事の実態例、付-3 代表的な注入工法一覧、付-4 検査方法ならびに簡易測定器具