200203
「土留め壁本体利用特別委員会」は,H形鋼を芯材とする土留め壁を,立坑や開削トンネル等へ本体利用する技術を開発し,地中構造物の建設コスト縮減を図ることを目的に,平成11年7月,東京電力株式会社の委託を受けた社団法人日本トンネル技術協会のもとに設けられたものである.本委員会の設立にあたっては,主に次を検討課題とした.①H形鋼と鉄筋コンクリート各々の材料の長所を有効に活用し,地中構造物の合理化を図ることが可能な設計法とする.②合成構造の構造的な弱点である接合部の応力状態を把握し,その状態に応じて信頼度の高い設計を可能とする.③土留め壁芯材のH形鋼は,仮設時は短期許容応力度が適用されるため,本体利用時はH形鋼の残留応力度の影響を考慮した設計法とする.本委員会は,約2年間の検討期間を経て所期の目標を達成し,ここに「H形鋼を芯材とする土留め壁本体利用の設計手引」をまとめることができた.本手引に示した設計法により,今後のわが国の地中構造物が,より高品質かつ経済的に建設されることを念願するものである.
【本編】第1章総則第2章材料第3章仮設時の設計3.1設計の基本、3.2H形鋼の仮設時許容応力度割増率第4章本設時の荷重第5章本設時の設計
5.1設計の基本方針
5.2一体壁の設計、5.2.1一体壁の構造計算、5.2.2一体壁のシアコネクタ量、5.2.3断面二次モーメントてい減率ゆの設定、5.2.4H形鋼および鉄筋コンクリート壁が分担する断面力の成分の算出、5.2.5一体壁の応力度照査、5.2.6シアコネクタの応力度照査
5.3一体壁の漏水対策
5.4一体壁の開口部の設計
5.5造細目第6章一体壁の施工に関する留意事項
6.1H形鋼芯材の建込み
6.2一体壁の本体構造との接合
6.3スタッド溶接設計計算例(1.5層箱形断面立坑、2.3層3径間箱形断面トンネル、3.1層2径間箱形断面トンネル、4.設計計算例の考察)【参考資料編】
1.山本の「不完全合成桁の曲げ理論」、2.一体壁の静的梁載荷実験および設計手法に関する検討、3.一体壁の直接せん断実験、4.仮設時に発生する応力度の残留に関する検討、5.一体壁の構造計算における土水圧の作用モデルに関する検討、6.一体壁の水平方向筋に関する検討、7.一体壁の開口部に関する検討、8.H形鋼の腐食しろの検討、9.H形鋼の建込み精度に関する検討、10.シアコネクタが引張力を受ける場合の検討、11.日本建築学会の指針と本手引との設計法の比較