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まえがきよりトンネル周辺の地山の挙動は、地形・地質条件のみならず、掘さく、支保、覆工、等の設計・施工要素に左右され、また、全長にわたってトンネル位置の地質の状態を的確に把撞することが困難なため、着工前に、トンネルの施工地山の挙動を確定的に知ることは、ほとんど不可能といっても過言ではない。したがって、通常は、計画時点には、事前調査結果、過去の施工実績等をもとに、設計・施工計画を立案し、施工時点に、地山の挙動の観察、測定結果、工事中の精密な調査結果をもとに現状に適合するよう設計、施工法等の変更を行っているのが実状である。また、山岳トンネルの場合数値計算による設計手法は、特殊なケースを除いては実用に供されておらず、当初設計、あるいは、実施段階の設計変更は、種々の観点からの地山の評価、すなわち岩盤(地山)分類を基礎に行っている例が多い。しかし、その実施状況は、国内各機関、各国での契約制度、契約慣行がまちまちであるため、多様であり、岩盤分類の評価基準、適用もさまざまである。トンネル技術協会ITA契約部会対策小委員会では、この現状に鑑み、外国の工事に用いられている岩盤分類とその適用状況、適用上の問題点等を調査し、わが国における岩盤分類のあり方を策定するため、下記の構成のワーキンググループ(幹事会)を設け、文献収集とその内容の検討、考察を行ってきた。この報告書は、この幹事会の作業の成果を要約したものである。
1. はじめに2. 岩盤分類の適用の現状
2-1国内における岩盤評価と岩盤分類の適用について
2-2 海外における岩盤評価と岩盤分類の適用について
2-2-1スイスの実情
2-2-2オーストリアの実状
2-2-3フランスの実状
2-2-4イギリスの実状
3.現在の工事のための岩翠分類相互の関連づけ
4.岩盤分類の問題点とあり方
4-1問題点
4-2岩盤分類のあり方
4-3まとめ
5.海外進出工事の体験
参考文献・引用文献