201703
目次:掲載頁/演題/発表者/所属
P1-8地下鉄営業線との近接施工をともなう共同溝シールド工事の施工事例―平成24年度302号鳴海共同溝工事―
発表者:(株)大林組土木本部生産技術本部設計第一部主任 安藤 嵩久
(概要)本工事は中部地方整備局が進める共同溝事業のうち,名古屋市東南部に位置する国道302号直下に掘削外径5960mmの泥土圧シールドで共同溝トンネルを築造するものであった.約3.6㎞の施工延長上には多くの都市高速道路や幹線道路など多くの重要構造物が存在していたが,なかでも地下鉄桜通線に対しては,離隔が約6m(=1D)で直交する近施工となり,営業線へ影響を与えずシールド施工を行う必要があった.そのため近接施工に際し,当該箇所の連続的な地盤情報の把握および事前影響評価を行い,適切なシールド施工管理値を設定した.具体的には①音響トモグラフィによる現地盤探査,②正確な地盤データによる3次元事前予測解析,③トライアル施工によるシールド施工管理値の評価,④施工時におけるリアルタイム計測といった影響低減策と近接施工時の管理を実施した.本稿ではこれらについて技術的課題および施工結果を述べる.
キーワード:泥土圧シールド,共同溝,近接施工,音響トモグラフィ,トライアル計測
P9-16
3連揺動型掘進機による地下通路の施工実績-日比谷連絡通路工事 R-SWING?工法-
鹿島建設(株)東京土木支店日比谷連絡通路土木工事事務所工事課長代理 工藤 耕一
(概要)都心の再開発プロジェクト等においては,テナントの利便性向上のため,建物と駅を地下でつなぐ地下連絡通路のニーズが高まっている.これらの建設工事にて,地表面から掘り下げる従来の開削工法では,地上に交通規制が多く発生すること,地下埋設物の移設や防護が必要となるなど様々な問題がある.またシールド工法などの非開削工法では,短い距離の工事ではコストが割高になってしまうこと,土被りの小さい個所には適用が難しいことなどいくつかの問題があるため,矩形断面の3連揺動型掘進機を用いたR-SWING工法を開発した.
本工事は,新日比谷計画開発ビル建設に伴う日比谷駅において,千代田線バリヤフリー1ルート及び日比谷線と千代田線との乗換ルートを整備と,既設出入口を撤去し地下鉄に接続する通路及び出入口を新設する工事であり,日比谷線側をR-SWING工法にて約40m推進を行い,無事に完了した.
本論文では,適用2例目となる地下通路の施工実績を報告する.
キーワード R-SWING工法,推進工,非開削,アンダーパス,カッタービット,切削実験
P17-24
トンネル掘削を継続しながら、ボックスカルバートを施工する(ボックスカルバートのプレキャスト施工)-大和御所道路 新田東佐味トンネル-
発表者:鉄建建設(株)大阪支店新田東佐味作業所監理技術者 宇野 淳二
(概要)大和御所道路の供用開始時期を順守するため,当該道路を施工している各工区の工期を確実に守るだけで無く,路線全体の工期を短縮する事が望まれた.大和御所道路の一工区である新田東佐味トンネル工事でも,工程の見直しを行い,工程が遅延している隣接工区側にトンネル掘削を50m延長することで,トンネル貫通時期の遅延を防止する事になった.それに伴い工期の大幅な変更を避けるために,覆工コンクリートの一部セットコン(毎日打設)を実施した.さらに,トンネル坑口部の引渡し遅延による大和御所道路の供用開始時期への影響を避けるために,本来なら当工区が引き渡し後に別途施工される予定であった,既設市道部分のボックスカルバートもトンネル施工と平行して施工した.ボックスカルバート施工では,地元から通行規制区間の短縮を強く要望され,かつ,トンネル施工への影響を軽減するために,プレキャスト構造に変更して施工を行った.
本報告では,トンネル掘削を継続しながら,ボックスカルバートを施工した施工実績を報告する.
キーワード:工期短縮,工程見直し,ボックスカルバート,プレキャスト構造,通行規制
P25-32
急曲線・急勾配・鉄道近接が伴う市街地のシールド掘進管理について-第二谷田川幹線その3-2工事-
発表者:(株)奥村組 東日本支社谷田川シールド工事所長 薮ノ 和洋
(概要)本工事は,豊島区の一部および北区の一部の雨水を収容する第二谷田川幹線をシールド工法で施工するものである.シールド路線には,4か所の鉄道横断と1か所の鉄道近接があり,そのうち鉄道横断箇所は,橋台および橋脚を下越しで通過させる必要があった.そのため,掘進中の綿密な掘進管理と掘進に伴う異常出水対策,各鉄道構造物の影響計測管理が極めて重要であった.本稿では,複合地盤におけるシールド掘進管理や異常出水対策,また鉄道近接に関する事前調査や計測管理に関する実施結果ついて報告する.
キーワード:コンパクトシールド,砂礫,高水圧,急勾配,近接施工
P33-40
供用中の地下鉄駅大規模改良工事における既設構造物の取りこわし-東西線・日比谷線茅場町駅改良土木工事-
発表者:東京地下鉄(株)改良建設部第三工事事務所主任 町田 裕之
(概要)本工事は,東西線・日比谷線茅場町駅において,列車遅延の要因となるラッシュ時のホームおよび乗換部の昇降設備における混雑の緩和を図るものである.混雑緩和対策は,日比谷線中目黒方面行きホームを約40mの範囲で拡幅し,東西線ホームを西船橋方に約40m延伸するとともに昇降設備(階段・エスカレーター)の再配置を行う.なお、本工事で発生する既設構造物の取りこわしについては,建設時に敷設された既設構造物内埋設管路を損傷しないよう非破壊検査等により事前に確認を行った.また,営業線および既設構造物への影響を最小とするために,静的破砕剤を使用し,人力はつりも行った.
本稿では,混雑緩和を目的とした日比谷線のホーム拡幅工事および東西線の昇降設備の再配置に伴う,営業線の既設構造物取りこわしに関する施工計画及び施工結果について報告する。
キーワード 非破壊検査、既設構造物取りこわし、輸送改善、混雑緩和
P41-48
既設推進管を地中拡幅(トンネル工事)したシールド発進基地の築造-横浜市獅子ケ谷雨水幹線-
発表者:戸田建設(株)首都圏土木支店土木工事2部獅子ケ谷雨水幹線作業所長 竹田 英樹
(概要)本工事は,横浜市鶴見区獅子ケ谷地区における,局所的な短時間大規模降雨による浸水被害を軽減することを目的として,一部の雨水を貯留するための雨水貯留管をφ3,000㎜泥水式シールド工法で施工するものである.シールド発進基地の用地がないため,当初計画では供用前のφ3,000㎜既設推進管を資材搬入路とし,φ8.0mライナー深礎掘削(深さ31.3m)で,φ3,000㎜既設推進管に割込み立坑を築造する計画であった.しかし,埋設管や架空線が輻輳し,住宅密集地及び交通量の多い交差点部の施工で多くの問題点があったことから,既設推進管の内部からトンネル工事で地中拡幅し,シールド発進のための空間を確保する方法の立案・検討をした.施工箇所の地質は,宅地造成による盛土(礫混じり細砂主体で粘性土および腐植土が混在,N値1~20)の層厚が約24mで,トン天端部まで厚く堆積しており,トンネル掘削時に周辺地盤が沈下し近接家屋の傾倒や埋設管の損傷が懸念されるため,補助工法として大口径高圧噴射撹拌工法(JEP-G工法)で地盤改良を行った.
本稿では,既設推進管の拡幅によるシールド地中発進立坑の築造によって,近接家屋の傾倒や埋設管の損傷防止,近隣住民の生活環境への影響を低減した施工実績について報告する.
キーワード:地中拡幅,既設推進管,シールド発進基地,トンネル工事,大口径高圧噴射撹拌工法
P49-56
アンダーパス工法による国道直下の大型函体けん引工事
-市道戸塚第420号線戸塚町地内道路改良工事-
発表者:東亜建設工業(株)土木事業本部技術部課長 村松 紀夫
(概要)本工事は横浜市の道路整備事業として、国道1号を横断する円滑な通行が困難な既設トンネルに代わり、十分な幅員を持った新設トンネルを含む道路改良工事である(図1-1,写真1-1)。工事は国道を供用しながらの施工となるため、アンダーパス工法の一種であるフロンテジャッキング工法(以下FJ工法と記載)を採用した。通行する車両や歩行者の通行に支障を与えないよう路面変状をいかに抑制するかが重要課題であった。本稿では、FEM弾塑性解析(以降FEM解析と記載)による変位予測とその対策、FEM解析では解析困難な施工に対する対策とその効果について報告する。
キーワード:アンダーパス工法、FEM弾塑性解析、路面変位抑制
P57-64
長距離・重要構造物横断・急曲線を含む小口径シールドトンネルの施工
-江戸川第一終末処理場第1放流幹線築造工事-
発表者:(株)熊谷組首都圏支店土木事業部江戸川第1放流幹線作業所 奥川 考透
(概要)江戸川第一終末処理場第1放流幹線築造工事は、千葉県市川市本行徳地内に建設されている江戸川第一終末処理場で処理された処理水を旧江戸川へ放流するための放流幹線を築造する工事である。施工延長は約2,580mの長距離施工で掘削外径はΦ2,480mmである。路線線形は発進直後から曲線半径22m、20m、延長L=2,000m~2,400m間に3カ所の曲線半径13mの急曲線があり、到達は既設人孔であるため線形管理の正確性が求められた。また、掘削地盤の殆どがN値5以下の粘性土で、延長L=1,140m付近では重要構造物である東京地下鉄㈱東西線を横断するため掘進による影響を低減する事と掘削泥水の管理が重要となった。今回は長距離・小口径シールドに於けるシールド掘進の急曲線施工の線形管理と地盤変動への配慮、掘削泥水管理の計画及び施工状況について報告する。
キーワード:小口径・長距離シールド、泥水式シールド、急曲線、線形管理、粘性土、重要構造物、泥水管理
P65-72
海底下横断シールドにおける想定外の玉石出現への対処実績-南部処理区新磯子幹線下水道整備工事-
発表者:西松建設(株)関東土木支社磯子シールド出張所副所長 橋本 守
(概要)横浜市南部処理区では,中継ポンプ場である磯子ポンプ場から,処理区全域の汚水を既設の根岸汚水幹線により南部水再生センターへ送水している.しかし,この既設幹線が老朽化してきていることから,代替の幹線となる新磯子幹線を整備することとなった.本論文は,横浜市磯子区の根岸湾海底下に新設する下水道管(新磯子幹線;仕上り内径φ3,600mm,施工延長1,896m)を築造する本工事において,施工中に発生した課題および対策内容について報告するものである.
施工前の土質調査では,シールド掘進位置の地盤は均質な固結シルト層と想定されていたが,海底下掘進中に玉石層に遭遇した.本稿では,シールド掘進中に出現した想定外の玉石層への対策および施工結果について報告する.
キーワード泥水式シールド,海底下,玉石層,クラッシャー
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