202303
目次:掲載頁/演題/発表者/所属
◆地下埋設物輻輳箇所での到達立坑築造と前方磁気探査装置搭載型推進機による金属障害物切削
― 大江戸線大門駅~大門変電所間ケーブル洞道整備工事 ―
鉄建建設(株) 東京支店 大門作業所 工事主任 兼 元方安全衛生管理者 早川 勇斗
(概要)大江戸線大門駅~大門変電所間ケーブル洞道整備工事は,地中障害物対応型泥濃式推進工法(ミリングモール工法)にて,ケーブルを収容するための洞道を推進工法にて築造する工事である.到達立坑は港区道1102号線(大門通り)に位置しており,地下埋設物が輻輳しており開削時の埋設損傷事故防止のため,土留め壁に矩形のライナープレートとセグメントタイプの土留め材を併用した構造を採用した.本稿では,地下埋設物輻輳箇所での到達立坑築造と前方磁気探査装置搭載型推進機による金属障害物切削について報告する.
キーワード 地中障害物対応型泥濃式推進工法(ミリングモール工法),磁気探査,JPSG
◆H&Vシールド工法の姿勢制御,地中分岐作業における対策と施工結果
― 北区赤羽台一丁目、赤羽西四丁目付近枝線工事 ―
西松建設(株) 関東土木支社 赤羽台出張所 竹林 大介
(概要)本工事は,北区赤羽駅西側地区の雨水排水能力を増強するために,2本の主要枝線を縦2連分岐型H&V泥水式シールドを用いて築造するものである.上段シールド(仕上がり内径φ2,800mm)と下段シールド(仕上がり内径φ2,400mm)は,連結した状態で立坑から発進し,約450m地点で分岐し上機は赤羽駅へ下機は赤羽台2丁目に向けてそれぞれ掘進する.H&Vシールド工法は,国内で過去7例しかない特殊工法であり,その施工にあたっては慎重な対応が必要である.本稿では,この2連シールドの掘進時の姿勢制御方法および地中分岐の計画,施工結果について報告する.
キーワード 縦二連分岐型H&Vシールド工法,姿勢制御,地中分岐
◆都市部のシールド工法における支障物撤去と用地制約等への対策
― 東大島幹線及び南大島幹線その2工事~その4工事 ―
東京都下水道局 第一基幹施設再構築事務所 工事第一課 工事担当第一主任 高橋 進
(概要)本工事は,浸水対策として,東京都江戸川区小松川一丁目から江東区大島五丁目までの約2.1kmの下水道幹線を泥土圧式シールド工法により整備するものである.施工においては,水管橋の基礎杭を防護するための地盤改良,地下鉄駅舎の構築時に残置された仮設杭の撤去,急曲線(最小曲率半径R=25m)の施工,内径の異なる東大島幹線と南大島幹線を一台のシールドマシンで施工するための親子分離など,用地の制約や輻輳する地下埋設物へ対応するため,さまざまな対策を講じた.その結果,周辺構造物に悪影響を与えることなく無事に掘進が完了したので報告する.
キーワード 泥土圧式シールド,DO-Jet工法,支障物撤去,親子シールド
◆地下鉄営業線におけるリスク低減管理
― 三ノ輪坑口防水ゲート設置工事 ―
東亜建設工業(株) 東京支店 メトロ日比谷線作業所 作業所長 伊藤 弘毅
(概要)東京地下鉄株式会社(東京メトロ)殿では乗客に安全・安心を提供するため,近年多発している局地的豪雨による河川決壊や大規模浸水に備える水害対策の一環として,トンネル坑口に防水ゲートの設置を進めている.本工事は,地下鉄日比谷線の三ノ輪駅~南千住駅間に防水ゲートを設置するものである.施工位置は,東京メトロ営業線の中でも急勾配・急曲線区間(39‰、R-160m)であり,現場周辺は住宅密集地での施工であった.そのため,周辺環境への配慮と地下鉄の列車運行を阻害させないことが重要な課題であった.本稿では,地下鉄営業線特有のリスク対策について報告する.
キーワード 防水ゲート,地下鉄営業線
◆福岡主要都市天神の⼀般道および地下街工事直下を縦断する急曲線シールドの施工
― 中部9号幹線築造工事 ―
(株)大林組 九州支店 中部9号幹線JV工事事務所 主任 小林 峻也
(概要)本工事は福岡市道路下水道局が進める「雨水整備レインボープラン天神」事業のうち,福岡市役所周囲の延長635.1mの区間に対して,掘削外径2,690mmの泥土圧シールドで掘進・地中到達することにより下水道幹線を築造するものである.本工事の特徴として,「急曲線施工」「地下街工事直下施工」「地中到達」が挙げられる.「急曲線施工」については,5か所の急曲線(半径15R~30R)に対して,施工時荷重によるセグメントの変形・損傷を防止して止水性を確保した上で,線形どおりにトンネルを構築することが課題となった.「地下街工事直下施工」については,施工途中の地下街工事の直下をシールドが通過することから地下街工事への影響の抑制が必要であった.「地中到達」については,将来の地盤の安定性を確保した上で,地中到達後のシールド内部設備撤去時の出水防止が課題となった.本稿ではこれらの課題についての詳細および対応策,施工結果を述べる.
キーワード 急曲線施工,止水構造,余掘り保持,裏込め配合,FEM解析,チャンバー内裏込め改良
◆静穏な市街地での泥土圧シールド工法による急曲線かつ1D以下の小土かぶり施工
― 令和2年度下水道築造工事(新免幹線・その1) ―
奥村・橋本特定建設工事企業共同体 機電主任 毛利 大介
(概要)本工事は,豊中市上下水道局が進める浸水対策事業の一環として,第一種低層住居専用地域に位置する稲荷山公園内を発進基地とし,玉井町4丁目までの1,017mを泥土圧シールド工法(シールド外径φ2,890㎜)により,雨水幹線管渠を築造するものである.地上部における道路線形に加え,道路幅員が狭いことから,シールドの平面線形は曲線半径R=11m,15mおよび 30mからなる合計6箇所の急曲線区間があった.さらに,到達部において,既設水路との接続高さが縦断線形のコントロールポイントとなっていることから,到達立坑手前約270m区間は,国道176号直下を1.5D以下(最小0.95D)でシールド掘進する小土かぶり区間があった.このような施工条件下において,線形精度の確保と地表面への影響抑制,かつ周辺環境への配慮についての技術的課題および対応策,施工結果について報告する.
キーワード 急曲線,小土かぶり,泥土圧シールド,騒音,振動
◆泥土圧式シールド工法による離隔1D以下の供用中重要構造物への近接施工対策
― 東京都下水道局 江東幹線その3工事 ―
大豊建設(株) 東京土木支店 江東幹線シールド②作業所 工事係 砂賀 立
(概要)本工事は東京都江東区の浸水被害の軽減を目的として,雨水管を築造するものである.江東区のほぼ中央に位置する木場公園内の発進立坑より上流となる暫定貯留施設の手前までの延長415m,土かぶり約30m,仕上がり内径3750mmの雨水管を泥土圧式シールド工法にて施工した.
本稿では,離隔1D以下で近接する下水管きょとの近接施工に際し実施した事前調査,影響計測,接触防止および影響抑制対策について報告する.
キーワード 泥土圧式シールド,近接施工
◆首都高速道路橋脚および営業線地下鉄シールドに近接した地下連絡通路設置に伴う開削工事
― 虎ノ門・麻布台地区市街地再開発事業に伴う地下鉄南北線六本木一丁目駅連絡通路設置工事 ―
東京地下鉄(株) 改良建設部 第二工事事務所 改良建設係 中村 悠人
(概要)地下鉄南北線六本木一丁目駅連絡通路(以下「連絡通路」という)は,虎ノ門・麻布台地区第一種市街地再開発事業の一貫として,再開発地区内の麻布台ヒルズと南北線六本木一丁目駅を接続する工事である(以下「本工事」という).本工事は,全長約130mの地下通路を築造するものであり,埋設物が輻輳する区間(約30m)は非開削工法(URT工法),そのほかの区間は開削工法(最大掘削深度15.3m)で施工する.連絡通路の構造形式は,一般部およびビル接続部は1層1径間,駅接続部は下層階を旅客通路,上層階を設備機械室とする2層2径間となる.連絡通路の側部には,首都高速道路橋脚(都心環状線)(以下「首都高橋脚」という),下部には東京メトロ南北線単線シールドトンネル(以下「南北線シールド」という)が近接している.本稿では,開削工事による首都高橋脚および南北線シールドへの挙動に対する近接影響解析と変位抑制対策並びに施工結果について報告する.
キーワード 地下鉄,連絡通路,開削工事,近接,橋脚,シールド,影響解析,変位抑制,非対称土留め,CSM工法
◆泥土圧シールドによる岩屑なだれ堆積物のある地層での施工について
― 岩手山麓農業水利事業導水路建設工事、導水路二期工事 ―
戸田建設(株) 東北支店 作業所長 日向 利行
(概要)東北行政局は岩手山麓地区一帯の農業用かんがい施設の機能維持・向上を目的として岩手山麓農業水利事業を行っており,当該工事は川前地区を東西に横断している岩洞用水路のほぼ直下を土被り約20mで,また谷底にあるIGRいわて銀河鉄道路線直下を土被り5.0mで横断する.掘削対象土は発進から約50mは火山性の粘性土,以降到達箇所まで岩屑なだれ堆積物という条件のもと,φ3.08m泥土圧シールドによって地下トンネルを約1km構築するものである.本報告は「岩屑なだれ堆積物」での泥土圧シールド施工時に検討した内容とその施工結果についてまとめたものである.
キーワード 岩屑なだれ堆積物,泥土圧シールド,鉄道横断
◆複合地盤シールド掘進と凍結環境下における地中接合
― 石巻中央幹線管渠復興建設工事その2・その4 ―
前田建設工業(株) 東北支店 石巻シールド作業所 副所長 和田 幸一郎
(概要)本工事は,東日本大震災によって石巻市に生じた広域的な地盤沈下による浸水被害を軽減させるために,泥水式シールド工法を用いて地下約20mに雨水管渠を築造するものである.施工箇所の地盤は,礫岩層や砂質土層および粘性土層からなる複合地盤であり,それぞれの地盤状況に応じてシールド面板の改造や管理方法の見直し、想定されるリスクに対する対応が必要であった。異径シールドの地中接合(挿入式)の地盤改良に凍結工法を採用し,シールド解体および機内覆工を実施した.また,凍結地盤の解凍に際しては当該地盤がN値1の軟弱粘性土であったため,強制解凍の再に体積収縮による地盤沈下が懸念されたため、解凍と同時に体積収縮を補完する注入ができる「強制解凍同時充填工法」を考案し、地盤沈下を抑制した.本稿では,これらの施工方法について報告する.
キーワード 泥水式シールド工法, 複合地盤, 凍結工法, 地中接合, 機内覆工
◆都市部に新設する長距離・大深度シールドトンネルの施工
― 葛西橋通り付近管路新設工事 ―
(株)安藤・間 関東支店 東電江東シールド作業所 副所長 才川 欽也
(概要)我が国では,高度経済成長期以降,道路,鉄道をはじめ,水道,ガス,電気などのライフラインの地下化が進み,特に都心部の公道下では,埋設管路が輻輳している.新たにトンネルを構築する場合,それらを避けるため50メートルを超える大深度での施工が必要となる.本工事の場合,発進から葛西橋通り地下を通過するまでは地下50mほどの箇所での施工であるが,到達は地下15m程度の既設の人孔へ接続するため,急勾配区間が設定されることとなった.本報告では,難条件を克服するために実施した対策とその結果について述べる.
キーワード 都市部,大深度,高水圧,泥水式シールド,急勾配,可燃性ガス
◆市街地における巨石混じり砂礫層のシールド施工
― 箱根小田原幹線4工区管渠築造工事 ―
清水建設(株) 土木総本部 土木技術本部 シールド統括部 益本 有人
(概要)本工事は,酒匂川流域下水道箱根小田原幹線工事のうち国道1号線直下である4工区(延長648m)を泥土圧シールドにより構築するものである.掘削対象地盤は,粘土・シルト分が極めて少ない,地下水位以浅の巨石混じり沖積砂礫層で,最大径φ1.5mの玉石の出現が想定された. 当初設計では,延長648mを掘削するにあたり,7回のローラーカッターの交換を予定していた.しかし,無水礫層では想定以上に摩耗が進行する懸念や,国道1号線沿線の民家に近接していることから,ビット交換回数を極力減らし,ビット交換時の地山崩壊リスクや周辺環境への影響低減が求められたことにより,掘進前に効果的なビットの選定や有効な添加材の選定などのビット摩耗低減対策を実施した.その結果,ビットの摩耗には厳しい条件での施工であったが,3回のビット交換で到達することができた.本稿では,シールド掘進時のビット摩耗低減対策等の施工の工夫,および施工結果について報告する.
キーワード 泥土圧式シールド工法,巨石,玉石,ビット摩耗,ビット交換 無水掘削 添加剤