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区分
JTA委員会研究成果報告書
図書分類
契約積算
図書名/雑誌名
トンネル工事(NATM)契約積算の手引き
著者名・発表者
契約積算委員会
所属
社団法人日本トンネル技術協会
発行所
社団法人日本トンネル技術協会
発刊年月(表示用)
1987年(昭和62年)3月
総頁数
221頁
体 裁
A4サイズ
内容

1.NATMの現状と今後吹付コンクリートとロックボルトを主要支保部材としたNATMが,山岳トンネルの施工法として我が国に本格的に導入され,既に十年余りになる。この間,幾多の試行錯誤を繰り返しつつも,数多くの実績を積み重ねてきており,建設省,日本道路公団,日本国有鉄道並びに日本鉄道建設公団において,NATMが一般的な工法として採用され,また,県,市等の自治体あるいは電力会社,私鉄等のトンネル工事における適用事例も増えつつある。このようにNATMが急速に普及しつつあることは,その設計,施工技術の確立と同時に, トンネル工事の安全性,合理性,経済性の面での優位性が認められてきているものと思われる。今後は,設計,施工面での種々の検討・進歩・改良を経ながら,さらに一層の普及が期待されるところである。しかし一方では,NATMの契約,積算に関して,解決すべき種々の課題が存在していることも事実であり,健全なるNATMの発展のためには,発・受注者共に工事の実態を適切に捉え,相互理解のもとにこれらの課題を解決していくことが喫緊のテーマであると思われる。2.適正な契約を目指すために
トンネル工事では,複雑な地質性状を有する地山を相手とするため,これら地下条件について調査により事前に正確に把握しても,施工に影響のある不可知要素を完全に排除することは原則として不可能であり,従って,他の工事に較べて設計変更で対処する事項が多い。このため, トンネル工事の契約に際しては,契約上必要となる基本的事項を設計図書(図面,仕様書等)に極力明示するとともに,当初想定した施工条件と実態とが相違した場合には,条件変更処理により適切に契約変更を行うことが重要である。この契約変更を適切に行うための方策として,工事種類ごとの数量,単価を明らかにできる契約形態をとることや,掘削単価をパターン別に設定することなどが考えられる。なお,契約上適正かっ合理的な対応をすることは,工事の安全な施工につながるとともに,結果としてNATMの特徴の一つである経済的な目的物を完成させることにもなる。3.積算のあり方
トンネル工事の積算にあたっては,工事の規模,工期,地山条件及び施工環境に適応した施工法,施工設備,工事用機械,施工順序等について,安全で経済的な施工計画を策定し,これに基づき積算することが最も重要である。積算方法としては, トンネル工事の特殊性から条件変更等の設計変更が予想され,これらの契約変更を適正に行えるよう積算することが望ましい。また,各工事種類の具体的な積算の内容については,施工計画,地山区分,仕様書,設計図等に基づき積算漏れのないように,さらに各種歩掛,材料の使用数量等についても,実情に合った適正な積算を行うように心掛けることが大切である。4.本手引書の利用にあたって
NATMの契約,積算に関する各発注機関の基準等については,それぞれの経緯を踏まえ独自に定められている。したがって,その内容や運用においてもそれぞれ若干の相違がある。このような中で本手引書は,NATMの契約,積算のより望ましいあり方を見出すべく,アンケートによる"NATMに関する実態調査"を基本にNATMの契約・積算に関する現状の調査,分析を行い,さらに発・受注者双方共通の立場で種々の検討を踏まえ,現時点でのNATMの契約,積算業務の参考に資することができるよう,基本的な考え方や判断資料を示したものである。
本手引書を利用される方々におかれては,このような主旨を御理解頂き,これからのNATMの契約,積算業務に活用されるよう願うものである。

目 次

第1編契約第1章契約方式
第1節契約の相手方の決定方法、第2節契約形態、第3節現行の請負契約(総価請負契約、単価請負契約、総価単価請負契約)、第4節今後の課題及び提言第2章契約書類第3章トンネル工事に関係が深い契約条項
第1節第1条総則、第2節第2条工事用地の確保、第3節第3条関連工事の調整、第4節第4条請負代金内訳書及び工程表、第5節第17条条件変更等、第6節第18条工事の変更,中止等、第7節第24条第三者に及ぼした損害第4章トンネル工事に必要な仕様書内容
第1節事前調査に基づく施工条件の明示、第2節掘削工法の明示、第3節掘削単価の設定方法、第4節大量湧水,異常土圧等による条件変更、第5節工事一時中止・工期延期に伴う増加費用、第6節工事用地の確保、第7節地元協議・その他、第8節断面閉合の時期の明示、第9節変形余裕量の明示、第10節余掘り,余巻き,余吹きについて、第11節吹付コンクリート,二次覆工について、第12節地山の部分的突出について、第13節計測内容の明示第5章共通仕様書,特記仕様書の内容
第1節共通仕様書の内容、第2節特記仕様書の内容第6章共通仕様書,特記仕様書の例
第1節適用に当たって、第2節共通仕様書の例、第3節特記仕様書の例第2編積算第1章積算の基本
第1節積算価格の構成(純工事費、現場管理費、一般管理費)、第2節積算の基本ルール(各費目の算定、合理的な積算)、第3節条件変更等の積算上の取扱い、(条件変更等の考え方、条件変更の種類と措置、積算上の取扱い)第2章積算のための施工計画
第1節実態調査に基づく標準的な施工法(トンネルの分類、掘削方法、掘削方法別使用機械)、第2節施工計画(掘削、吹付コンクリート、ロックボルト鋼製支保工、覆工コンクリート、インバート、ずり処理、アイソレーション・防水工、計測、物件の調査、共通仮設)第3章積算の方法
第1節工程計画(労働時間、作業日数、工事工程、サイクルタイム、編成人員)、第2節純工事費(基本事項、掘削、吹付コンクリート、ロックボルト、鋼製支保工、覆工コンクリートインバート、ずり処理、アイソレーション・防水工、計測、物件の調査費、共通仮設費)、第3節諸経費(現場管理費、一般管理費)