202103

区分
施工体験発表テキスト
図書分類
施工体験発表会
図書名/雑誌名
第89回施工体験発表会(都市) CD-ROM
主題/副題
「厳しい条件下における市街地での地下構造物築造工事」-トンネル・地下構造物の新設、改良、再構築工事の施工事例-
発行所
一般社団法人日本トンネル技術協会
発刊年月(表示用)
2021年(令和3年)10月
頒布価格 (団体・税込)
5000円
頒布価格 (個人・税込)
5000円
頒布価格 (一般・税込)
5000円
体 裁
CD-RプリントサイズA4
内容

目次:掲載頁/演題/発表者/所属

目 次

狭隘な河川下におけるH&Vシールドによるスパイラル掘進 -立会川幹線雨水放流管その2工事-
東京都下水道局 第二基幹施設再構築事務所 工事第一課 工事担当・第二 主任 猪原 澄也
(概要)本工事は,立会川に放流する合流雨水の大部分を取り込み,放流先を勝島運河(閉鎖性水域)から京浜運河へと変更するための雨水放流管を築造するものである.立会川の両岸に近接した民家や,既設護岸支持杭など,縦断・平面線形上に受ける制約を解消しつつ,必要整備水準の断面を確保するため,2本のシールドトンネルを同時に構築する H&Vシールド工法によるスパイラル掘進を採用した.実施工における世界初のスパイラル掘進に先立ち,H&V シールドシミュレータによる事前解析の実施や,余掘り量の低減およびテールクリアランス確保のために2基のシールドのピン接合形式を開発・適用するなど,念入りな事前準備を行った.実施工においては,H&V シールドの三次元的な線形管理に加え,構造的弱点となるピン接合部の挙動監視とピン接合を保護しながらシールド掘進操作を行った.シールドのさまざまな工夫と緻密な掘進管理により,トンネル線形は管理値内で施工を完了した.
(キーワード)雨水放流管,泥水式シールド工法,H&V シールド工法,スパイラル掘進,H&V シールドシミュレータ,ピン接合方式,揺動角度,ローリング角度

親子シールドにおける親から子への切替施工について -寝屋川市秦高宮雨水幹線建設工事-
戸田建設㈱ 大阪支店 土木工事部工事1室 主管2級 町谷 英樹
(概要)寝屋川市秦高宮雨水幹線建設工事は,総延長 1,811m の親子シールド(泥土圧シールド)工事であり,親シールドは延長 864.9m,外径 3,130mm,子シールドは延長 949.6m,外径 2,230mm である.本工事の親子シールドは親シールド機内にあらかじめ子シールド機を内蔵し,親シールド機による掘削の途中から地中で子シールド機を分離,発進させ,トンネル径を縮小するシールドである.親シールド区間は二次覆工省略型の鉄筋コンクリートセグメント,コンクリート中詰鋼製セグメント,子シールド区間は鋼製セグメントを使用する.本稿では,親子シールド機設計時および親子分離施工時の課題と検討事項,施工結果について報告する.
(キーワード)親子シールド,親子分離,断面変化

軟弱地盤下に築造されたシールドトンネルの補強・補修工事における施工方法の効率化
-東京メトロ千代田線北千住駅・町屋駅間 B 線シールドトンネル補強・補修工事-
東京地下鉄㈱ 鉄道本部 工務部 土木課 小柴 康平
(概要)本工事は,千代田線北千住駅・町屋駅間 B 線シールドトンネルにおいて,トンネル変形の防止を目的とした二次覆工による補強対策と,漏水の抑制,継手ボルトおよび鉄筋の発錆抑制を目的とした補修対策を実施するものである.当該トンネルは,地下鉄営業中のトンネルであるため,作業時間,作業空間,材料搬入ルートなど様々な制約を受ける.一般に営業下の鉄道トンネルの場合,作業時間は夜間の列車運行停止時間帯に限られ,二次覆工などの対策工も建築限界外の空間に限られる.材料などの搬入ルートも限定され,トンネル内への資機材の仮置きも困難な場合が多い.このような制約条件下では,効率的な施工を限られた設備・空間で実施するためには,施工方法などに配慮が必要である.本稿では,二次覆工による補強対策において高所作業車を導入するなど,施工方法の効率化に取り組んだので,その内容について報告する.
(キーワード)シールドトンネル,軟弱地盤,トンネル変形,二次覆工,制約条件,高所作業車

多数の急曲線を含む固結地盤における下水シールド工事について
-東京外かく環状道路 東名ジャンクション H ランプ工事-
㈱大林組 東京本店 外環東名 H ランプ JV 工事事務所 工事長 丹沢 淳一
(概要)本工事は中日本高速道路㈱発注の東京外かく環状道路東名ジャンクションのランプ工事の一環として,ランプ線シールドに支障する既設下水道管多摩川幹線を移設するために,新たな下水幹線シールドを承認工事として築造するものである.シールド路線の中間部に発進立坑を設け,上流側・下流側の両工区に対して,仕上り内径φ2,700 ㎜の下水道幹線を総延長約 1,247m にわたって築造する.掘削対象は固結地盤で,最小半径 11.6m などの急曲線を多数含んだ複雑な平面線形である.また,路線はほぼ全線が道路敷下であり,隣接する外環本線シールド工事の施工設備や東名高速の直下を通過する施工条件となっている.本報文では,固結地盤において急曲線を多く含むシールドで出来形や品質を確保し,地上道路や他工区施設に影響を与えることなく下水幹線を築造した施工体験について報告する.
(キーワード)下水シールド,急曲線,近接施工,固結シルト層,プラグ工法,地中到達

狭小な道路幅員での到達立坑の築造と高水圧下でのバルクヘッド方式によるシールド到達
-水道配水本管鹿浜線(中川横断)更新工事-
鉄建建設㈱ 東京支店土木部 牧野 楓
(概要)水道配水本管鹿浜線(中川横断)更新工事は,泥土圧シールド工法にて水道配水本管用のシールドトンネルを施工する工事である.到達立坑は区道上に位置しており地下水位が高く,シールド機到達時の漏水による路面陥没を防止するため,バルクヘッド方式によるシールド機到達を採用した.本稿では狭小な道路幅員の中での到達立坑築造とシールド機到達方法についての施工計画および施工実績について報告する.
(キーワード)泥土圧シールド工法, アーバンリング工法, バルクヘッド

砂層主体の土質を全線土砂圧送する長距離泥土加圧シールド -(仮称)富津千葉高圧幹線 第1期建設工事-
㈱奥村組 東日本支社 土木第1部木更津シールド工事所 副所長 池島 智昭
(概要)本工事は,天然ガスの安定供給を目的に,千葉県富津市から市原市の全長 31km にわたって新たにガスパイプラインを建設する工事のうち,河川横断部や開削工事が困難な約 8.6km(4工区)区間を密閉型シールド工法(掘削外径φ2270mm)にて構築するものである.トンネルの土かぶりは最大 64m,シールド掘削断面の土質は塩分を含む砂層主体である.また,可燃性ガスが検出されたことから排土方法を土砂圧送として施工した不具合およびその対策について報告する.
(キーワード)シールド,泥土加圧,長距離,大深度,高水圧,洪積砂質土層,沖積砂質土層,土砂圧送,加泥塩分対策

明治通りを占用した開削工法によるカルバート施工
-東京都市計画道路幹線街路環状第 5 号線(環5の1千駄ヶ谷)-
㈱フジタ 東京支店 千駄ヶ谷立体作業所 監理技術者 佐々木 篤
(概要)本工事は、環状第 5 の 1 号線(明治通り)の内、渋谷区千駄ヶ谷五丁目から新宿区内藤町までの延長約 1 ㎞の区間を整備するものであり、新宿駅及び甲州街道と交差し混雑の著しい新宿四丁目交差点をバイパスする明治通りの改良工事である。環状第 5 の 1 号線の中で唯一現道の無い区間に道路を新設するとともに現明治通りの拡幅を行う。沿道環境と新宿御苑の緑地空間保全に配慮し、外回り 2 車線を掘割、BOX カルバートにより地下部に新設する構造となっている。新宿御苑脇から明治通り合流部、現明治通り上の 380m の区間では現道を切回しながら路面覆工を行い、開削工法により構造物を施工した。都心の主要道路であるため交通の確保やメトロ副都心線との近接等、着手に際し様々な課題があった。本文は様々な厳しい条件の中で、エリア毎の課題と実施した対策について述べる。
(キーワード)BOX カルバート,都市土木,路面覆工,山留め,近接作業,地盤改良

軟弱地盤下に潜函工法で築造された地下鉄トンネルの拡幅における上床版築造工事
-東京メトロ 東西線南砂町駅改良土木工事-
東京地下鉄㈱ 改良建設部 第三工事事務所 六本木 祥二
(概要)本工事は,東京メトロ東西線における通勤ラッシュ時のホーム上の混雑および列車遅延を解消するため,島式ホーム1面と線路2線である地下構造の駅をホーム2面と線路3線へと改良し,また昇降設備および改札の位置をより円滑な旅客流動を目指して再配置するものである.南砂町駅は建設当時運河であった場所に潜函工法で造られたため,現在も躯体周辺の地盤はN値0~1と超軟弱であり,駅改良に必要なすべての工種に対して周辺地盤および既設躯体の変位抑制対策を検討する必要がある.本工事では,開削工法にて深さ14mまで掘削し,新設構造物の側壁は本体利用するRC地下連続壁で,上床版および下床版は既設函体を包囲するような形となる.土留めは本体利用を目的とした地下連続壁,補助工法は掘削底面以深に先行地中梁と底盤改良を目的とした地盤改良を採用した.本稿では,3工区に分けた工事のうち西船橋方の終端部工区を題材に,既設躯体直上の新設上床版の築造について報告する.
(キーワード)地下鉄,駅改良,軟弱地盤,開削工法,既設躯体,上床版,埋設型枠,建築限界,トンネル拡幅

大断面シールドにおける地山探査等による地盤変状抑制 -東京外かく環状道路(北行)大泉南工事-
大成建設㈱ 東京支店土木部プロジェクト部主任 首藤 悠歩
(概要)東京外かく環状道路本線トンネル(北行)大泉南工事は,シールド機外径 16.1m の国内最大の泥土圧シールド機によって施工され,セグメント外径は 15.8m,セグメント厚さは 650mm である.掘削土層は上総層群の江戸川層及び,舎人層(粘性土,砂質土,砂礫の互層)で N 値 30~50 以上,土被りは最小 7m~最大 57m である.発進立坑から 100m においては特に小土被りであり,重要構造物が近接しているため,地表面の変状だけでなく重要構造物の変状も抑制する必要があった.シールド工事における主なトラブルの一つとして余掘り地盤の不安定化・裏込め注入量の不足による地盤変状が挙げられる.本工事は大断面でありながら最小 7m の小土被りを掘進することから,そのリスクが増大することが考えられる.以上より余掘り量を検知するシステムとして電磁波レーダー探査装置を開発し裏込め注入の補足管理として活用した.
(キーワード)シールドトンネル,小土被り,裏込め注入

地下鉄都営新宿線駅舎下における支障杭切断・除去の施工実績(中間報告)-東大島幹線及び南大島幹線-
鹿島建設㈱ 東京土木支店 大島幹線工事事務所 工事係 川東 一幸
(概要)本事業は,東京都下水道局小松川第二ポンプ所~大島ポンプ所間約 2.0km を泥土圧シールド工法で施工する.本報告は,供用中の都営新宿線大島駅,共同溝,下水幹線直下のシールド掘削断面内に残置されている支障杭(干渉想定数PIP 杭 60 本)を DO-Jet 工法(Double Object-Jet Method)により切断・除去し,シールド掘進を行った実績について報告するものである.
(キーワード)DO-Jet 工法,支障物切断・除去,近接施工

シールド掘進中における予期せぬ地中障害物への対応 -東京都下水道局 江東幹線工事-
大豊建設㈱ 東京土木支店 江東幹線シールド作業所 工事担当 田島 美裕
(概要)東京都では,江東区内の浸水被害を軽減するため,雨水幹線やポンプ所などの整備を進めている.このうち江東幹線工事は,江東区のほぼ中央に位置する木場公園内の発進立坑より流末となる江東ポンプ所手前までの約 4.3 ㎞に内径 6.0m,土かぶり約 30.0m の雨水管を泥水式シールド工法にて施工するものであった.本稿では,シールド掘進中に遭遇した予期せぬ地中障害物への対応および現場で行った広報活動について報告する.
(キーワード)地中障害物撤去工,広報活動