令和5年 会長の新年挨拶
令和5年の新しい年を迎えて
(一社)日本トンネル技術協会 会長 菊川 滋 
明けましておめでとうございます。
旧年中は、前年に引き続きのコロナ禍の中ではありましたが、会員の皆様方のご支援を頂き、運営広報事業、国際関係事業、催物事業、調査研究事業、受託業務等を様々な工夫をこらしながらも滞りなく実施することが出来ました。ここに改めて感謝・御礼を申し上げます。
ロシアによるウクライナ侵攻など国際情勢が緊迫化し、あわせて円安など経済状況が不安定化する一方で、DX(デジタル・トランスフォーメーション)やGX(グリーン・トランスフォーメーション)など社会の急激な変化が加速し、私たち日本トンネル技術協会を取り巻く環境も急速に変化しており、協会としてもこれらの変化に的確に応える必要があります。
本協会は令和元年度に中長期の活動指針となるJTAビジョンを策定しこのビジョンに基づき各種事業を進めていますが、昨年から今年にかけての幾つかの取り組みを幾つか簡単に紹介します。
まず、研究助成制度については令和4年度に研究助成部門3件と研究奨励部門2件の助成を実施しました。また、令和2年度に創設した表彰制度に基づきトンネル技術や本会の発展に特別の功績、功労のあった方々を表彰しました。また、シールド工事の施工中のトラブル発生が社会問題ともなっている中で、催物事業の一環として「シールド工事の施工の安全に関する講演会」をリモート形式で開催するとともに、後日にオンデマンド配信を行い多数の参加を得ました。これは国土交通省がとりまとめた報告書を受けて開催したものですが、会員の関心も高く、引き続き、シールドトンネル工事のトラブルに関する情報発信と共有に努めていきたいと考えています。さらに、国際関係事業としては、ITA活動への参加などを通じて、トンネル技術に関する各国の情報収集、我が国からの情報発信に務めています。今年は、第49回国際トンネル協会(ITA)総会・WTC2023が5月中旬にギリシャのアテネで開催されることになっており、JTAは団体会員の皆さんと協同展示を行う予定です。
なお、本会は令和7年(2025年)8月1日に設立50周年を迎えることから、それを記念する事業を実施することとし、事業を統括する「設立50周年記念事業実行委員会」を設置しました。今年から本格的な活動を始めることとしております。
私たちは人口減少と高齢化という課題に直面しつつ、気候変動により頻発・激甚化する自然災害と切迫性が高まる巨大地震にも備えていく必要があります。また、トンネルを含む社会インフラの老朽化対策も待ったなしの状況です。ポストコロナの経済再生の柱は地方の再生と国土の強靭化であり、強くしなやかな国土づくりに向けてのトンネル技術の役割は引き続き大きいものがあると考えています。引き続き、産学官からなる本協会の強みを生かして、時代のニーズに合った調査研究を実施すると共に自己研鑽を積み重ねこれまで培ってきた技術を継承しつつ、さらに幅広く社会の利益の増進に資するよう、活動の充実強化を図っていきたいと考えております。関係各位の引き続きのご理解・ご協力をお願いします。
結びに、令和5年が皆様方にとって幸多い1年であることを祈念し新年の挨拶といたします。